お気に入りの書籍紹介『起業のファイナンス』
Gaji-Labo Advent Calendar 2014 17日目担当、原田です。
紹介する書籍は『起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと』です。
働き方に迷っている人にも読んで欲しい
タイトルから分かるように起業時のファイナンス(資本金などお金にまつわるあれこれ)の事を書いた本です。内容は登記に関する実務などではなく起業する人が通るであろう悩みなどを丁寧に解説してくれている本です。
しかし実際に起業をしようとしている人だけでなく、ぼんやりと独立に夢を見ている人や今の働き方に疑問を抱き始めた人にも読んで欲しい一冊です。
内容はベンチャー向けのファイナンスですが、そこに至るまでの説明に『「会社」とは何か』P.76 や『「個人経営」VS「会社」』P.83 など、そもそも会社を起こす必要性を説くところから始まっています。
すでに起業している人やなんらかの理由で会社経営に携わっている人にとっては常識的な内容だとしても、サラリーマンとして日々働いている間は触れることが少ない情報が沢山つまっています。
「第2章 会社の始め方」、「第3章 事業計画の作り方」、「第4章 企業価値とは何か」あたりは独立をぼんやり考えている人に読んでみてほしい内容です。
とくに「第2章 会社の始め方」については必読です。
会社の始め方
「第2章 会社の始め方」では法人化するタイミングや法人化の際の注意点などがまとめられています。
自分で会社を作ってから身にしみて分かった事ですが、法人登記は最初が肝心です。「”誰に”株をもたせ」「”誰が”お金を出すのか」もしくは「”誰から”お金を借りるのか」などは一旦決めてしまったものを後から調整するには思いもよらない金額と労力が必要になります。
とくにベンチャーの場合は出資者の存在が欠かせない事が多いでしょう。なぜ最初が肝心なのか、調整が大変なのか、そのメカニズムも解説されています。
自己資金と自分のスキルだけで開業できるなら心配は少ないのですが、誰かと一緒に開業するならベンチャー企業でなくても知っておくべき情報が沢山あります。
資本金が大きいことで会社や株主の得になることは、あまりないのです。
(起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと P.93)
上記など目から鱗でした。(詳細はぜひ書籍を手にとってみてください。)
迷ったときの指標を作れる
Gaji-Labo を起業した前後に出た本なので、Gaji-Labo の登記後にこの本を読みました。
書籍の中ではベンチャー企業が上場するまでの流れなどを説明していますが、ベンチャーとは言えない受託制作の企業であっても成長過程に共通点は沢山あります。
この本を読んだことで会社のステージに合わせて会社に関わる人の人数や役職を想像しやすくなりました。
また、各ステージの会社の状況が想像しやすくなったことで下記のような事態が発生したときに答えをすぐに出しやすくなりました。
- 今お金を借りるべきなのか?
- 株を持ちたいと言われたけどどうしたらいいか?
- 人を増やしたい・事務所を移転したい
どんな大きさの法人であっても、ファイナンスに関わる経営判断は間違えたり遅れるだけで資金繰りが苦しくなったり、大きく成長するチャンスを逃したりする事になりかねません。 この先会社で起こるであろうイベントを的確に想定しつつ、自社のステージとこの先の備えをするだけで突然の事態にも対処できる幅が広がり判断の速度を速めることができるでしょう。
経営マインドを磨く一歩に
よく「日本には経営マインドのある人材がもっと必要」だとか「経営者の育成が出来ず後継者難」だとかいう話を聞きます。
実際に起業をするかしないかに関わらず、企業経営をする上で必要な知識があった方がキャリア形成上有利なのは確かです。
しかし、経営に必要な知識を得ようにもそう簡単に実践できるものではありません。またMBAを取るにはかなりのお金がかかります。
自分の適性や興味が分かる前にそんな賭けをするわけにはいかないでしょう。
そもそも何から始めたらいいかも分からないのが実情と思います。(私がそうでした。)
そんな人こそこの本をきっかけに起業・経営の世界に触れて次に何を学ぶべきか、自分のキャリア形成をどうしていくかを考えるきっかけにしてもらえたら良いなと思います。