お気に入りの書籍紹介『ユニバーサル HTML/XHTML』『セマンティック HTML/XHTML』


 

Gaji-Labo Advent Calendar 2014 22日目担当、原田です。
紹介する書籍は下記の二冊です。

どちらもHTMLについての技術書。技術革新の早い Web の世界においてそれぞれ発刊から15年・5年ちかくたっている書籍にも関わらず今も通用する大切な事が書かれた書籍です。

『ユニバーサル HTML/XHTML』『セマンティック HTML/XHTML』表紙写真
15年近くたっても通用するHTMLの基礎とこれからのウェブを支える技術を解説した書籍

ユニバーサル HTML/XHTML

2000年発刊の技術書。HTMLを『「情報(文章・ドキュメント)」を示すファイルフォーマット』としての特性にフォーカスし、なぜHTML仕様がそのようになっているかなど細かなところから詳細に解説をはじめます。

全編を通して HTML ファイルがユニバーサルであることの重要性や、メタデータの意義、ハイパーリンクの素晴らしさ(もはや説明不要ですが)などが丁寧に解説されています。

通常 HTML 関連の書籍は「マークアップはこうしましょう」とか「ブラウザで表示するにはうんぬん」などウェブブラウザで表現(とくに視覚表現)することに集中している場合が多いですが、この書籍では終始「HTMLとは」という事を掘り下げています。(視覚表現の話などはおまけ程度という割り切り方)

その割り切りのおかげか HTML の本質のみを追求しているため、 HTML5 が当たり前になった今でもこの書籍に書かれている大半の事が決して外すことの出来ない重要な事項ばかりです。
(この書籍の構成とHTML5の後方互換性のなせる技ですね。)

セマンティック HTML/XHTML

こちらは2009年発刊の技術書。もはや HTML 書籍のふりをしたセマンティック・ウェブの解説書という様相です。

セマンティックウェブとは乱暴に解説すると、メタデータにより情報(単語からウェブページやサイト、人物、団体、現実世界のあらゆるものを表す情報)を相互につなぐことでウェブ上の情報に意味付けを行うことを指します。

そのために必要な技術仕様などを HTML を中心に解説しています。
相互につながったデータのことを Linked Data と言うのですが、それを表現する手法や利用方法を解説しています。

Linked Data の簡単な解説

いままで文脈や語彙から何かを連想するのは人間の仕事でした。
例えば「サンマの塩焼きが食べたいがスーパーで品切れだった。かわりにアジを探す。」というようなことです。(僕はサンマがなかったらあきらめますけど。)

この場合「サンマ」と「アジ」は「焼き魚の材料」という関係で相互につながっていることになります。

サンマを売っているスーパーを探すことなどはデータが揃っていれば機械でも容易にできましたが、アジを連想するにはサンマとアジの関係性を理解していなければいけません。
その関係性を表現したデータ群が Linked Data です。

Linked Data の重要性

発刊された2009年当時は Linked Data を扱う方法も有効に活用できる Linked Data のかたまりもあまり無かったと記憶してます。
しかし近年は schema.org や Facebook, Twitter などが活用している OGP のおかげで徐々に meta data による表現が増えてきました。

また、いわゆるビッグデータによるデータマイニングやAIの機械学習には、充実した Linked Data が必要な場面が出てきているようです。
これから先、ウェブと人間の暮らしをさらに便利にするために Linked Data やセマンティックウェブが大きな役割を果たしていくと思います。

おそらく、大規模な Linked Data の構築は機械が行うことになるでしょう。
しかし自分たちが発信する情報を世の中の Linked Data に結合可能な状態にすることが当たり前に求められる日が来ると思っています。

より良い HTML を書いて、より良いウェブの未来を支えるために読んでみて欲しい一冊です。

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投稿者 Harada Naotaka

受託と事業会社の両方を経験し、沢山の事業を見てみたい気持ちで Gaji-Labo を共同創業。普段は雑用やったりプロジェクトマネジメントやったり、たまにフロントエンドのコードを書いたり。直近は Gaji-Labo をデザイン会社に転換していく課題に挑戦中。期待値コントロールにステ全振り。