自分の手触りの中でモノを作る楽しみと、誰かと一緒にそれを味わう意味を教えてくれる「ヨサクノハヤシ」
山岸が課外活動として仲間と一緒に続けていることのひとつに、ヨサクノハヤシという手仕事の会があります。2015年からはじめた会なので、もうちょっとで丸5年継続してきたことになります。
ヨサクノハヤシのコンセプトはお茶やお菓子をお供にもくもく手仕事をする…というものなのですが、いつもにぎやかにわいわいがやがややっているため、黙々という雰囲気からは程遠いです(笑)。自分たちのことを手芸部と呼び、レギュラーメンバーは大体4、5人くらいいます。
なぜここまで続けてきたのか、その理由は主に3つあります。自分の手でモノを作る楽しさ、誰かと一緒に作業するおもしろさ、そして純粋に癒やされるという理由です。
自分の手でモノを作り上げること
手仕事の楽しさは、なんと言っても自分の手でダイレクトにモノを作り上げる体験。その楽しさは格別です。実用品を作ることが多いので、作った後は日常的に使用しています。
ここでは作業がうまいとか作りかたが正しいとかはあまり重要ではなくて、手仕事ゆえのゆらぎが魅力につながることがおもしろいのです。工業製品みたいにきれいに作らなくていい。ゆらぎによる個性が出ているほうがずっとずっと愛しく感じます。
また、モノの成り立ちや原理を知ることができるのも興味深い点です。いつだったかは毛糸を紡ぐ回があったのですが、糸を紡ぐための道具・スピンドルを作るところからはじめました。
機構やしくみはとてもシンプルで、無人島サバイバルでの応用もできそうなもの。糸紡ぎという行為の成り立ちと効率化を手の中で追体験できたことは、いい刺激になりました。
誰かと一緒に作業をすること
ヨサクノハヤシでは、部長が回ごとに手仕事のレシピを考えてきてくれるので、みんなでそのやり方を教わりながらも自由に作っていく。それがいつもの流れです。
基本のレシピを考えてきてくれるのは部長ですが、一方的に教える/教わるという形で進むわけではありません。基本の作りかたを理解した人はすぐ他の人に教える側に回ったり、うまくコツが掴めないときは何度もやり直して自分なりのやりかたを見つけたりしながら作っていきます。瞬間瞬間で役割が変わるのです。
そうやって役割を入れ替えながら、お互いの知恵や工夫が手を伝わって行き来する時間を過ごすと、人と一緒に作業する意味みたいなものに気付かされます。
それぞれが思い描く完成予想図は違っているので、使う布の分量も必要な針目の数も違います。しかし、お互いの知恵を交換し合って自分の手元に必要な応用をすることで、完成まで持っていきます。誰かと一緒に作業することで生まれる創意工夫。これぞ人間の営みっていう感じがしますね。
ちょっと話は逸れますが、そうやって手から手に知恵や工夫が渡っていく様子を見ていると、GitHubでリポジトリをフォークしたりプルリクエストを送信したりと同じことだなぁと思います。同じ場所で一緒に作業しているからこそ、クローンではなくてフォークになる感覚です。
ストレス解消の癒やし効果もある
もくもくちくちくすると、癒やされるんですよね。作業に集中する没頭感はやめられません。特にニット編みに集中したあとなんかは、ちょっとした瞑想と同じくらいスッキリします。もしかしたら「こまごました作業だから疲れてしまうのでは?」と思われるかもしれませんが、想像以上にリフレッシュできます。
加えて、自分が作ったものをかわいいかわいいと自画自賛したり、お互いに無責任に褒め合ったりするのも最高です。「うまくできなかった…」とか「失敗した…」という気持ちは不要。ちょっとの失敗は味であり、個性。それが愛しい。
手仕事の感触を忘れないでいること
私は日々変化の早い業界で新規事業支援などをしていますが、それもすべて人が生活をよくするために営んできたことの延長線上にあるのだと考えています。
自分の生活をよくするための創意、自分の使う道具を作るための工夫。そうしたものを自分の手触りの中で続けることで、まだ見ぬイノベーションやいつか来る未来も、この手の中とつながっているのだと感じることができるのではないでしょうか。
実際にヨサクノハヤシを楽しんでいるときには、そんな難しいことは1ミリも考えてはいません(笑)。しかし、ふと振り返ってみると、自分の中にそんな思いがあるなぁと気付きました。ヨサクノハヤシ、これからも続けていきたい活動のひとつです!
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