自由と尊厳とアクセシビリティ
近年、沢山の方々の活動によって数年前と比べてアクセシビリティという単語の認知度が向上しておりとても嬉しい限りです。
最近はアクセシビリティに対して強くコミットできていないのに記事を書くのは少し歯がゆい気持ちになるのですが、株式会社ツルカメの森田雄さんからポエムを書こうとお誘いいただいたので今回のテーマはアクセシビリティにしてみます。
Morita, Yu (yuu)
@securecat
アクセシビリティに馳せる想いって、わりと人間味あったり泥臭かったり、それでいて壮大な厨二病みたいなところあるから面白いよね。みんな(誰)のポエム集めて文集みたいなの発行しようかな?
午後7:09 · 2020年3月16日·Twitter Web App
https://twitter.com/securecat/status/1239493955097509889
アクセシビリティ大事ですよね。なんで?
この課題に取り組んでいる方々や世の中のアクセシビリティの向上を切望している方々の数だけ、なぜ大事なのか・なぜ取り組むのかという議論があると思っています。
障害者の社会参加だ、情報格差の是正だ、インクルーシブデザインだ、時代の要請で必要になってきたからだ、いやいや将来の自分のためだ、などなど。
身の周りでアクセシビリティに関わる人達と話をしていても、取り組む理由や情熱をささげる理由は少しずつ違うと感じています。
今回はポエムなので僕(@neotag)がなぜアクセシビリティを重視するのかをつらつらと言葉にしてみます。
一言でいうなら「アクセス可能なものに “自由” にアクセスできることは僕らの権利」だから。この一心でアクセシビリティを重視しています。
知りたいことを知れることの衝撃
幼少期にインターネットが無かった世代(今の30代以降でしょうか)にとっては共通の体験かもしれませんが、インターネットを自由に使えるようになったときの開放感は衝撃でした。
私的な事情ですが親の方針で子供の頃から家庭ではテレビゲーム禁止・テレビは一日1時間までという過酷(大げさ)な環境で僕は育ちました。
とくに勉強熱心でもなく図書館にこもるようなタイプでもなかったので、放課後は少ない友達と喋りこむか悪ふざけをするくらい。狭い情報のなかで生きていたと思います。
高校生になりバイト代でPCとインターネット回線を得てはじめて自由にインターネットを使えるようになったとき「知りたいことがその場で知れる」という自由に興奮していました。まわりの皆がすでに得ている自由を僕も遅ればせながら得られた喜びでした。
たぶんこれが僕のアクセシビリティ原体験です。
アクセシビリティの向上とは「アクセス出来ない」というハンディキャップの解消そのものであり、アクセスできない理由は身体的な障害の有無だけに限られないと強く感じています。
デジタルのすごさ
多くの人が認めるとおり、インターネットを含むデジタルメディアの利便性は抜群です。
時間や場所に縛られず複製や持ち運びも容易でデバイス次第ではあらゆる場面での情報取得が可能になりました。通勤電車で週刊誌を開いている人はほとんど見なくなりましたが、今僕らは通勤・通学のときに20年前とは比べ物にならない量の情報を摂取できます。
また情報の取得の方法もどんどん進化しています。初期のインターネットではテキストがメインで画像を表示するのもとてつもなく時間がかかったといいます。(テレホタイムとか知らないんですよね)
今では音声や普通の動画だけでなく自由に動かせる3DオブジェクトやVR・MRなど、アクセスできる情報の形は広がり続けています。
入力方法もPCのキーボードだけじゃなくスマートフォンのフリック入力や音声入力など技術の進歩で制約が少しずつ減っていっています。
これをアクセシビリティの向上と言わずして何というのでしょう。
知りたいことはすぐ知りたいし、それはもはや権利
知りたいことを知りたい時に調べられること、それは僕らの生活の中では当たり前になりました。(まだまだ全然インターネット上に情報が足りてないとも思っていますが)
その当たり前になったことは僕らが得た権利だとも思っています。実際にはそれらを支えている沢山の技術や沢山の労働があるのですが、この権利を奪われることはもはや誰一人として受け入れがたいのではないかと思います。
この技術によって僕らは今まで不自由だった情報の取得を自在におこなえるようになり新たな自由を得たと考えています。
自由こそが人間の尊厳を維持する重要な要素です。アクセシブルではない状態は自由への侵害です。人間の尊厳に関わる問題です。
多くの場合、最新技術の恩恵を最初に受けるのは健常者でしょう。。しかしこんなに素晴らしいものを健常者だけのものにしておくのは人類の損失ですし、身の回りにいる恩恵の受けられない友人・知人たちに申し訳なく感じます。
僕はインターネットで得た自由の原体験と同じ感動をこれからももっと味わいたいし、より多くの人とそれを共有したいです。
だからアクセス可能なものすべては、よりアクセシブルでなければいけない、そう考えます。
おまけ
冒頭で「最近はアクセシビリティに対して強くコミットできていない」と書きましたが、ひとつだけ信念を持ってやっていることがあります。
それは事業会社の事業のサポートを行うことです。
たしかにインターネットによって情報を得ることは容易になりました。
でも人間の営みすべてがデジタルに移行したわけではありません。インターネットでは出来ないことがまだまだ沢山あります。
多くの事業会社がそこに商機を見い出し、インターネットでの接点が増えれば、自然と人類全体のアクセシビリティが向上するはず、そんな思いでITの仕事をしています。(ちょっと我田引水っぽいですね)
物質世界の情報をインターネットに繋ぎこむだけでアクセシブルの一歩目を踏み出しているし、それを適切な形態で届けることで世界はもっとアクセシブルになっていきます。
アクセス可能な物事の総量とその適切さ、双方が両輪のように回ることこそが大事だと信じています。だから僕はインターネットで活動するすべての人に尊敬の念を感じています。
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