オンラインミーティングの精度を上げるために今日からはじめるちょっとした習慣
日々の業務をフルリモートに切り替えてから2ヶ月近くが経ちました。
社内外でオンラインミーティングを繰り返していて、「ミーティングに参加する側(ファシリテーションされる側)」が身につけると良さそうな習慣にいくつか気付きました。
今日から簡単にはじめられるものを社内メンバーに向けてまとめてみました。続く内容は社内メンバー向けの語り口で書いていきます。
Yes/No で答えられる場面を大事にする
「肯定/否定」「賛成/反対「ポジティブ/ネガティブ」などの二項で答えられる質問があるとします。現地で顔を合わせるコミュニケーション(以後便宜的に対面と呼びます)では表情やリアクション・それまでのコンテキストなどで明言するまでもなく答えが共有されてることも多かったと思います。
しかしビデオ会議だったり音声通話のみの会話だったりすると、必ずしも今までどおりのコンテキスト共有ができているとは限らない場合があります。というよりほぼ出来ていない前提に立ったほうが良いです。
これまでは Yes/No を明言すると対立が可視化されたりして角が立つなどの理由で、あえて答えるのを避ける文化も見かけました。その習慣を引きずると非常に危険です。
オンラインコミュニケーションが増えたことで会議の解像度が落ち、コンテキストの明示が重要になりました。場の解像度と具体的な議論のために、まずは Yes/No を最初にはっきり答える習慣をつけましょう。
また、質問や話題の切り出しも「Yes/No」で確認できる単純化した話題から徐々に具体的な議論に落とし込んでいくと、コミュニケーションの解像度があがると感じています。
僕は Gaji-Labo 社内では Yes/No で答えられる話題について「まず肯定か否定か答えて」と確認するようにしはじめました。明言する習慣がないと嫌な質問に聞こえるかもしれませんが、コミュニケーションの解像度を上げるためにみんなで慣れていきたいです。
自分の立場を改めて表明する
前述のとおり、対面では言葉以外の情報が豊富に提示されるため、自分の立場を言葉でしっかり表明するというプロセスが軽視されがちだったと考えています。しかし、コミュニケーションの解像度が落ちたことで、あなたの立場を周りが理解するチャンスはとても減りました。立場が理解されない状態でいくら言葉を尽くしても、あなたの考えは2割も届かないと思います。
Yes/No で答えたあとは、自分の立場を一度は必ず明示しましょう。「作業者として〇〇を懸念している」「マネージャーとして〇〇を何よりも重視している」「基本的にすべて賛成だが、今週は他の事で余裕がなく優先度を下げざるを得ない」などなど、些細なことで構いません。まずは簡単な立場の表明からはじめてみましょう。(今現在の話だけでなく、組織のビジョンに照らした立場の表明が出るとさらにいいですね)
あなたの視点を理解することで他のメンバーはあなたの発言の真意を理解し、より適切な応答ができるようになります。コミュニケーションの密度をあげ、質の高い議論にたどり着くために、おそれることなく自己開示をしていきましょう。
主語を明確にする
対面では誰に向かって話しているかということが容易に伝えやすかったと思います。目配せや身体の方向・アクションなど様々な方法で「誰の話か」「何の話か」を言外に伝えるすべがありました。
しかし、オンラインミーティングでは話している本人以外全員が「誰に向かって話しているか」を見失ってしまう場面が増えます。
誰に対して何の話をしているのかを明確にし、自分の意見や話している内容が誰にどんな影響が及ぶのかを具体的に理解できるような話し方を意識しましょう。
今までは「〇〇をしなければならない」という話し方で物事が進んだかもしれません。今日からは「我々は〇〇をしなければならない。そのためには△△さんと□□さんに××の作業をお願いしたい。」というように、より具体的な表現を心がけましょう。
こまめに区切る
オンラインコミュニケーションでは、話に割って入るのもファシリテーターが場をコントロールするのもとても難しくなります。そうなると難しい話ほど話者の独壇場となり、得てして演説化してしまうことが多いです。
人間はあまりに大きな情報を与えられると、どこで切り取って考えればよいか分からなくなり、思考が浅くなりがちです。会議の場の演説はほぼ理解されずに聞き流されてしまうと思ったほうがいいでしょう。
残されるのは話者の「すべて伝えたという充足感」と全員の「何かを聞いたという実績」だけで、物事が前に進む可能性は極端に減ります。それを避けるために、区切れるところはこまめに区切り、その話題に関係する人に意見や補足を求めるようにしましょう。
区切り方が分からない場合は、まず話題を分割するところからはじめましょう。「作業単位」や「対象となるキーワード単位」「フェーズやスケジュール」など、独立して区切れる話題はできるだけ独立して話しましょう。
また、ひとつの話題の中でも「前提」「想定や仮説」「結論や対策」などで分割することで、他の人が話題に参加する余地を増やせます。
オンラインコミュニケーションでは、ファシリテーターだけでなく参加者全員の会話の回し方がより重要になっていきます。
その場での納得にコストをかけすぎない
オンラインコミュニケーションが主体になったことで、ミーティングの解像度は落ちました。その結果「なんとなく分かるけど不安」という場面が増えたのではないでしょうか。
この不安との付き合い方を間違えると、オンラインコミュニケーションは崩壊すると感じています。これまでは会議の場ですべてを明らかにして、執務スペースに戻ったら個々人が全力で走ることが正解だったと思います。しかし、解像度の浅いコミュニケーションで全てを明らかにすることは不可能です。
オンラインミーティングでは、前に進むために必要な情報をできるだけ広く揃えることに集中し、納得いかない部分の検証は割り切って別途進める方法を模索する方向に切り替えましょう。なんとなく、をずるずると引きずらないことが重要です。
何が理解できなくて何が足りないのかを言語化し、それを明確にするために必要なステップに目を向けるのが良いと思います。
このあたりはとても重要だと感じているのですが、手法がまだ整理できていないので引き続き検討を進め、何か見えてきたら記事にしたいなと思っています。
テキストコミュニケーションへのつなぎ込みを行う
対面にしろオンラインミーティングにしろ、開催した実績だけ残してそのあとの行動に反映されないのは全く意味がありません。議事録の重要性などははるか昔から言われていますが、テキストコミュニケーションへもっとていねいにつなぎ込めないか検討しましょう。
ここまで書いたことを全員が意識して会話に参加すれば「何のためか」「何をやるか」「誰がやるか」などが会話の中で自然と明確になっているはずです。会話を進めながらリアルタイムに Issue を作成していくのも良いでしょうし、みんなで esa や Google Docs など(同時編集可能なものがいいですね)を編集してテキスト化の効率をあげていくのも大事です。
オンラインミーティングが終了した直後に、同じ速度でテキストコミュニケーションが繋がっていくようになったら最高ですね。議論の中心人物やファシリテーターはそこまで手が回らないかもしれません。参加者全員で行動できるのが理想です。
まとめ
どれも対面であろうとオンラインであろうと重要かつ基本的な習慣ですが、他の方法で補いづらくなったことで、改めて重要度が増したものたちではないかと思っています。
Gaji-Labo のメンバー全員に「ファシリテーションする側/される側」両方の作法と技能を磨いてもらい、これからの時代のオンラインコミュニケーションを牽引できるような優秀な人材になってもらいたいです。
今回は簡単なことだけをまとめましたが、社外の関係者を交えたオンラインコミュニケーションの経験を重ねてよりよいナレッジを構築していきましょう。
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