郵便番号の住所自動入力について考えてみる
こんにちは、Gaji-Labo UIデザイナーの今西です。
今回は郵便番号の住所自動入力のUXについて考えてみます。
郵便番号の住所自動入力は便利
郵便番号入力での住所自動入力は、フォームで住所を入力する際によく見る機能です。
郵便番号を入力するだけで住所の街区・丁目までまで入るのがとても便利です。住所を手入力する箇所が減り誤入力も減らすことができるので、フォームのUXを考えれば対応すべき機能と言えます。
郵便番号と住所の対応データを活用した住所自動入力できるフリーのスクリプトやノウハウもあり、実装も難しいものではなさそうです。
今回郵便番号の住所自動入力について考えてみようと思ったきっかけUberの日本版のUXに関しての指摘記事でした。
How Uber Japan failed to localize their UX
私もいちユーザーとして、Uber Eatsの住所の表示はローカライズされた不自然なものでわかりづらいなあと感じていたのでこの指摘は理解できます。
それとともに、もはや日本のフォームでは当たり前にともいえる郵便番号の住所自動入力がなぜ機能として盛り込まれなかったのだろうという疑問がでてきました。
海外では郵便番号による住所自動入力は使われていない?
調べてみると、郵便番号による住所の自動補完の例はまったくないわけではないようです(UKやインドのものを見かけました)。 ただし、日本のようにメジャーなでフリーの郵便番号の自動入力APIやスクリプトがあったり、フォームの機能として一般化されてはいないようです。
住所を自動入力するためのサービスは有料のものが多いから使われていないのかというわけでもなさそうです。
郵便番号ではない住所の自動補完や補助については、番地や街路名から都市や州、国を補助する方法があるようです。住所が番地と街路から始まるため、このような補助の方式が使いやすくなるのだと思います。
住所のフォーマットも関係ありそうです。
住所の日本の住所は都道府県の大きな区画から小さい区画を記述するかたちになっています。この方法で住所を記述するのは、日本以外の世界では中国、韓国、ハンガリーのみだそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8F%E5%B1%85%E8%A1%A8%E7%A4%BA
https://en.wikipedia.org/wiki/Address
この3国も住所記述の順は日本と同じですが、郵便番号の記述の位置は住所より後ろです。中国、韓国、ハンガリーで日本のような郵便番号による住所の入力補完が使われているか、は調べきれなかったところではあるのですが、ぱっと探して見つかるものはありませんでした(英語でしか探していないので見つからなかったのかもしれないです…)。
住所の後ろに郵便番号を書くのが一般的なので、住所を入力し終わったあとに郵便番号から住所の入力補完をする必要がないのではないかと思います。
日本ローカルの事情だったから
日本のWebフォームで郵便番号の住所自動入力が使われるようになった理由は下記になると思います。
- 郵便番号を住所の始めに記述する形式
- 郵便番号と住所に対応したDBを使った自動入力のノウハウがある
フォーム内の項目としての住所は一般的な記述の順番通りに置かないと入力するユーザーを混乱させます。そのため日本におけるフォームの住所の始めの項目は郵便番号です。郵便番号を入力するだけで住所の殆どが自動入力できることは、フォーム入力の面倒をかなり減らします。
また自動入力のフォームへの実装がそれなりにしやすくなっていたことで、機能をフォームにつけるのが一般化していったように思います。
郵便番号での住所自動入力はいつから始まったものかはわかりませんが、始めたひとはすごい。
日本の住所の記述方式はガラパゴスとまでは言いませんが、世界と比べてかなり独特のものだったために、Uberのローカライズ対応から漏れてしまったのではないでしょうか。独特だからこそ、その地域の事情を汲んで対応すべきだった、とも言えますが。
今回は郵便番号の住所自動入力のUXに思いを馳せるつもりが、システムのローカル事情も絡んだりして調べて考えるのがおもしろかったです。
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