運用フェーズを見据えた Shopify の CSS コーディングルール


こんにちは、 Gaji-Labo 横田です。
Eコマース用のプラットフォームである Shopify によるサイト構築で、以前、Shopify テーマのデフォルトスタイルと独自スタイルの CSS の共存を模索した を紹介しましたが、今回はもう一歩踏み込んだCSS のコーディングルールについて書いてみます。

デフォルトテーマとの共存を模索する

Shopify のデフォルトテーマである Debut を元にカスタマイズを進める中で、独自にスタイルを変更したり、新規に追加したい時に、 theme.css とどう共存させていくかというのは前回 も書いたように、課題でした。
開発時のスピード等を優先して、 theme.css に書かれたスタイルをそのまま直接編集したり、 class を新規追加して theme.css のスタイルを上書きしていくやり方もひとつの方針です。
この方針の場合、既存テーマのスタイル / class と、新規追加する スタイル / class が同居することになるので、後から CSS を修正・追加したい時、どの class を編集すればいいのか見通しが悪くなる懸念が考えられました。また、theme.css を直接編集すれば、影響範囲の確認にコストがかかることになります。1つの要素に複数の class を指定していけば、スタイルの上書きが複雑化していく状態にもなります。

<div class="default-class default-class2 original-class1 original-class2">

.default-class {
 display:block;
 text-align: left;
}
.default-class2 {
 color: red;
 font-weight: normal;
}
.original-class1 {
 text-align: center; //override
 color: blue; //override
 font-size: 18px; //original
}
.original-class2 {
 margin-top: 10px; //original
}

長きにわたる運用を見据えた場合、class の付け方やスタイルが複雑化し、不要になったスタイルであっても削除の判断が困難になり、 CSS の肥大化にもつながると考えました。
そこで、

  • 既存テーマの スタイル / class と、新規追加する スタイル / class が同居している状態を避ける
  • 1つの要素に複数の class が指定されている状態を避ける

ことをコーディングルールの方針としました。

デフォルトCSSのコーディングルール

  • デフォルトのスタイルをそのまま使用できる箇所は、そのまま使用する
  • 複数の class が指定されている状態も許容する

新規追加するCSS のコーディングルール

  • 新規追加したい class には独自の接頭辞(prefix)を付ける
  • 新たに class を付けたいところに既に class が付いていた場合は、付いていた class を新しい prefix-hoge に置き換える。元の スタイル(テーマのデフォルトスタイル) を、全て新しい prefix-hoge に移植する
<h1 class="collection-hero page-width">
↓
<h1 class="prefix-collection-hero">

.collection-hero {
 color: red;
}
.page-width {
 text-align:center;
}

↓

.prefix-collection-hero {
  color: red;
  text-align: center;
  font-size: 18px; //original style
}
  • 移植したい class が Block 要素で、子要素に Element 要素があった時は Element 要素ごと全てのスタイルを移植する
  • この場合、Element も全て class 名の差し替えを行う
  • 移植ができたら、 theme.css から該当の class の style を削除する

例外

  • class="prefix-hoge -fuga" のような CSS の modifier はマルチクラスを許容する
  • class="prefix-hoge lazyload js" のような、 JS 関連の class はマルチクラスを許容する

まとめ

運用フェーズでの CSS のカスタマイズしやすさ、不要なスタイルの削除しやすさ、CSS の肥大化を出来るだけ減らし、class や CSS の見通しをよくする。運用フェーズでUIをこまめにアップデートしていく先を見据えた CSS 設計の一つの例になるかと思います。
Shopify での CSS コーディングルールを考える時の参考になればと思います。

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投稿者 Yokota Tomoko

運用やアクセシビリティに配慮したHTML/CSSの設計やコンポーネント作成、スタイルガイドの構築、コードレビュー、組み込み、要件の整理、社内進行管理、顧客とのコミュニケーションまで、ジョインしたチームを前に進めるためにあれこれ担当しています。子育てと仕事のバランスを楽しめるよう、日々模索しています。