ドラッグ&ドロップできるリストコンポーネントを作成する React 用ライブラリの dnd kit を使ってみた


こんにちは、Gaji-Labo アシスタントエンジニアの石垣です。

今回は、ドラッグ&ドロップが可能なコンポーネントを作成する React 用ライブラリの dnd kit を触る機会があったため、使用方法についてまとめてみます。

dnd kit について

dnd kitの公式サイトのキャプチャ画像

dnd kit は React 用の、ドラック&ドロップ可能なコンポーネントを実装するためのライブラリです。

公式ドキュメントによると軽量でパフォーマンスが高く、拡張可能であり、かつアクセシビリティも担保していることを売りとしています。GitHub でも最新バージョンが一ヶ月前に公開されているため、開発も活発であることが窺えます。

実装する上での観点としては、ドラッグ&ドロップをコンポーネントではなく用意されている hooks で実装するのが大きな特徴です。

公式で Storybook が公開されており、縦並びのリストや横並びのリスト、グリッドレイアウトのリスト等様々なユースケースに対応する実装を見ることができます。

個人的にはサンプルで2Dゲームを実装しているのが目を惹きました。

Storybook上でチェッカーが実際にプレイできる

dnd kit で簡単なドラッグ&ドロップが可能なリストコンポーネントを作成する

導入

まずは dnd kit をプロジェクトに追加します。

yarn add @dnd-kit/core @dnd-kit/sortable @dnd-kit/utilities

@dnd-kit/core がコアライブラリであり、これだけでもドラッグ&ドロップ可能なコンポーネントを作成することができますが、 @dnd-kit/sortable を導入することでより簡単に実装しやすくなる hooks を使用することができます。

@dnd-kit/utilities も実装の上で便利なユーティリティを使うことができるようになるため導入します。詳しくは後述します。

コンポーネント実装

並び替え用に8つのカードを持つ配列を作成しました。これを並び替えるコンポーネントを作成してみます。

角丸のカードが8つ横に並んでいる様子のキャプチャ
interface draggableCardProps {
  children: string;
}

export function DraggableCard({ children }: draggableCardProps) {
  return (
    <div
      style={{
        display: "flex",
        alignItems: "center",
        justifyContent: "center",
        margin: 4,
        borderRadius: 4,
        width: "150px",
        height: "150px",
        border: "1px solid black",
        backgroundColor: "white",
      }}
    >
      {children}
    </div>
  );
}

const items = ["1", "2", "3", "4", "5", "6", "7", "8"];
const contents = items.map((item) => ({
  id: item,
  content: <DraggableCard>{item.toString()}</DraggableCard>,
}));

上のカードを並び替えるためのコンポーネントの実装がこちらになります。以下、こちらを参考に解説していきます。

import { DndContext } from "@dnd-kit/core";
import { arrayMove, SortableContext, useSortable } from "@dnd-kit/sortable";
import { CSS } from "@dnd-kit/utilities";

...

interface SortableItemProps {
  id: string;
  children: ReactElement;
}

function SortableItem({ id, children }: SortableItemProps) {
  const { attributes, listeners, setNodeRef, transform, transition } =
    useSortable({ id });
  const style = {
    transform: CSS.Transform.toString(transform),
    transition,
  };
  return (
    // eslint-disable-next-line react/jsx-props-no-spreading
    <div ref={setNodeRef} style={style} {...attributes} {...listeners}>
      {children}
    </div>
  );
}

export const DndSample = (): JSX.Element => {
  const [state, setState] =
    useState<{ id: string; content: ReactElement }[]>(contents);
  const handleDragEnd = useCallback(
    (event) => {
      const { active, over } = event;
      if (over === null) {
        return;
      }
      if (active.id !== over.id) {
        const oldIndex = state
          .map((item) => {
            return item.id;
          })
          .indexOf(active.id);
        const newIndex = state
          .map((item) => {
            return item.id;
          })
          .indexOf(over.id);
        const newState = arrayMove(state, oldIndex, newIndex);
        setState(newState);
      }
    },
    [state]
  );

  return (
    <DndContext onDragEnd={handleDragEnd}>
      <SortableContext items={state}>
        <div style={{ display: "flex", flexWrap: "wrap" }}> // スタイル調整用
          {state.map((item) => (
            <SortableItem key={item.id} id={item.id}>
              {item.content}
            </SortableItem>
          ))}
        </div>
      </SortableContext>
    </DndContext>
  );
};

1. 移動用のコンポーネントを作成する

まずは先程のカードをラップする移動用のコンポーネントを作成します。

import { arrayMove, SortableContext, useSortable } from "@dnd-kit/sortable";
import { CSS } from "@dnd-kit/utilities";

...

interface SortableItemProps {
  id: string;
  children: ReactElement;
}

function SortableItem({ id, children }: SortableItemProps) {
  const { attributes, listeners, setNodeRef, transform, transition } =
    useSortable({ id });
  const style = {
    transform: CSS.Transform.toString(transform),
    transition,
  };
  return (
    // eslint-disable-next-line react/jsx-props-no-spreading
    <div ref={setNodeRef} style={style} {...attributes} {...listeners}>
      {children}
    </div>
  );
}

前述の通り、 useSortable という hooks を @dnd-kit/sortable から呼び出して使っています。

useSortable はドラッグ&ドロップの実装に必要ないくつかのプロパティを返しますが、ここでは5つのプロパティを使っています。この5つは全て必須です。

この中で attributes listeners setNodeRef はドラッグ&ドロップさせるコンポーネントに直接渡します。

残りの transform transition はドラッグ&ドロップの移動とアニメーションをCSSで行うためのプロパティです。こちらも style として渡さないとコンポーネントを移動させることができないため要注意です。

transform に値を渡すにあたって @dnd-kit/utilities から呼び出した CSS を使っています。これは transform の値は object で返ってくるため、object から string に変換する手間を省くために用意されているユーティリティです。

これで移動用のコンポーネントを作成することができました。

2. コンポーネントをドラッグ&ドロップ可能にする

import { DndContext } from "@dnd-kit/core";
import { arrayMove, SortableContext, useSortable } from "@dnd-kit/sortable";

export const DndSample = (): JSX.Element => {
  const [state, setState] =
    useState<{ id: string; content: ReactElement }[]>(contents);
  const handleDragEnd = useCallback(
    ...
  );

  return (
    <DndContext onDragEnd={handleDragEnd}>
      <SortableContext items={state}>
        <div style={{ display: "flex", flexWrap: "wrap" }}> // スタイル調整用
          {state.map((item) => (
            <SortableItem key={item.id} id={item.id}>
              {item.content}
            </SortableItem>
          ))}
        </div>
      </SortableContext>
    </DndContext>
  );
};

コンポーネントをドラッグ&ドロップ可能にするために、DndContext と SortableContext というコンポーネントを呼び出して使用します。

この2つを上述した移動用のコンポーネントをそのままラップし、SortableContext に配列を渡すだけでドラッグ&ドロップができるようになります。この辺りはすっきりしていて書きやすいと思いました。

3. ドラッグ&ドロップ後に配列の状態を保存する

import { arrayMove, SortableContext, useSortable } from "@dnd-kit/sortable";

...

export const DndSample = (): JSX.Element => {
  const [state, setState] =
    useState<{ id: string; content: ReactElement }[]>(contents);
  const handleDragEnd = useCallback(
    (event) => {
      const { active, over } = event;
      if (over === null) {
        return;
      }
      if (active.id !== over.id) {
        const oldIndex = state
          .map((item) => {
            return item.id;
          })
          .indexOf(active.id);
        const newIndex = state
          .map((item) => {
            return item.id;
          })
          .indexOf(over.id);
        const newState = arrayMove(state, oldIndex, newIndex);
        setState(newState);
      }
    },
    [state]
  );

  return (
    <DndContext onDragEnd={handleDragEnd}>
      ...
    </DndContext>
  );
};
...

最後に handleDragEnd でドラッグ&ドロップ後に配列の状態を保存できるようにします。

DndContext は event という引数を取り、これは activeover の2つの値を取ります。active は動かしたコンポーネントの移動開始時の状態で、 over は移動終了時の状態を取ります。もしコンポーネントをドラッグ&ドロップ可能領域の外に出した場合は over は null を返します。

また、配列操作を簡単にするためのユーティリティとして arrayMove という関数が用意されています。

これでドラッグ&ドロップが可能なリストコンポーネントを作成することができました。

ドラッグ&ドロップした後に状態が保存されている

まとめ

今回はドラッグ&ドロップが可能なコンポーネントを作成する React 用ライブラリの dnd kit について使用方法をまとめました。

dnd kit は hooks を使って実装するという点が React を書き慣れている人には直感的で実装しやすいと感じました。

簡単に実装できる割に拡張性も高そうなので、今後も詳しい使い方を触りながら学んでいきたいと思っています。

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投稿者 Ishigaki Shotaro

未経験から Gaji-Labo に入社。現在は React/TypeScript/Next.js の案件で MUI を使ったコンポーネント組み込みを担当。プロジェクトチームのリードとして共に組み込み作業をしているメンバーの進行管理も行っています。休日はだいたい家で音楽を聴いており、たまにライブに出かけています。