デザインディレクションをデザイナーも学ぶ:『デザインディレクション・ブック』


最近のGaji-Laboのデザインチームはデザインのプロセスを明確に非デザイナーも参加できるように、デザインのプロセスの脱ブラックボックスできないかについて考えています。
ある程度デザイナーには定石のような「進め方」はあるのですが、それ自体も非デザイナーからはなんとなく進むものになっているところがあるかもしれません。

「デザインディレクション」という言葉はデザイナーにとってはイメージしやすいものですが、デザイナー以外のメンバーにとってはどうでしょうか? デザインディレクションは、デザインを具体化していくために適切な方向性を示し進行していくプロセスです。
デザイナーはなんとなく動いているデザインの仕組みを明らかにすることと、デザイナーではないメンバーがプロセスに参加していくためのガイドになるものとして、『デザインディレクション・ブック』をデザイナーの立場から紹介します。

デザインに関わりたい非デザイナーから、ちゃんともう一度デザインのプロセスを見直したいデザイナーにもオススメです。

デザインプロセスの仕組みはセンスだけではない

「デザインディレクション」では、デザインプロセスを進める上で3つのポイント「手順」「依頼」「評価」を明確に説明しています。 大事なことは、デザインの目的や方向性明確にするコンセプトや条件の組み立てとデザイナーの成果コンセプトや条件に沿って評価することです。

非デザイナーもデザインのプロセスに参加していく上で対処に迷うひとつがデザインの「評価」であると思います。何がデザインにおいてよいのか、どうやってデザインの進退や修正を指示を考えればいいのか。デザインを決めることに対して非デザイナーは引け目のある立場と感じがちな気がしています。
デザインの進退の評価を行うにもる物差しが明確になれば、評価はしやすくなるはずです。デザインの評価軸にもつながるコンセプトや条件がデザインの重点であるので、本でもその組み立てになるプロセスが解説されています。

また反対に、デザイナーとしては何をデザインするのかを理解するためにデザインのコンセプトや関連する情報はあるだけ集めてインプットしたいと考えます。
デザインのためのゴールになるものやコンセプトが明確であると「そのためにどうデザインを考えればよいか」が理解しやすく、デザインのアイデア検討の集中ができます。なので、明確なデザインコンセプトの提示は、解像度の高い情報からデザイナーが精度高くアイデアや提案を考えることにつながります。

デザインのゴールの提示と評価の基準を明確に示せるプロセスは、「なにを目指すか」「なぜそれをするのか」「どうやってやるか」が関係者間で明確にコミュニケーションできることに繋がります。そのコミュニケーションが「デザインディレクション」を進める肝であるので、デザインをリードする立場には的確に明確に示すための手順を進めることが求められます。
デザインは抽象的なゴールやコンセプトがあるところから具体的なビジュアルにしていくことで、その抽象と具象をつなぐプロセスには適切な言葉でのゴールを示し決定していくのがディレクションです。 デザインの基礎をつくるためのコンセプトの立て方から、評価の仕方が学べるのがデザイナーとしても改めて確認できたのがよかったです。

デザインの現場では、デザインの〝センス〟というワードがとくに非デザイナーから出てきがちな印象があります。この本でのデザインディレクションのプロセスが進む仕組みは〝センス〟だけに頼らない依頼からデザイン提案への評価を学ぶことができます。
非デザイナーにも理解しやすい原則でデザインの構造を説明している章では、デザインの仕組みをブラックボックス化しない理解ができることで非デザイナーからの評価への入っていきやすさに繋がっていくはずです。

最後に

非デザイナー向けに書かれたこの本には、デザイナーにとってもデザインの仕組みを見直す上で有益な学びがたくさんありました。
デザイナーもコンセプトやゴールをインプットしたり考えたりした上で、デザインの検討を進めます。目的を定めたうえでビジュアライズするのがデザインなので、これはデザインに関係なく行われることだと思います。そのためのインプットやヒアリングをデザイナーもしっかり行うことが必要になりますが、ディレクションとして明確に提示されることは検討の精度をあげることにつながるのでデザイナーとしても明確なプロセスのコミュニケーションとして大歓迎です。

改めて、デザインを進めるために何が必要か、デザインを成り立たせるための説明や根拠として何を示すべきかのデザイナーのヒントにもなりました。またディレクションがいない場合にもデザインを成り立たせるためのゴールをデザイナーと非デザイナー間での共有できるようにすることの参考にもなります。
「デザイン」ってどういうもの?どうやったらちゃんと成り立たせられるの?の教科書としても、活用していきたいと思います。


投稿者 Imanishi Emi

UIデザイングループリード。
制作会社でプロモーションサイトや広告のデザイン制作、受託開発会社にてサービスのUIデザインを経験し、Gaji-Laboに参加。ユーザーが使いやすいインターフェースデザインづくりと、フロントエンドで実現するUIデザインの橋渡しについて考えます。
実際にインターフェースを試したりフィクションの世界のUIにヒントをもらいながら、心地よく使えるデザインを考えるのが好き。