「デザインの言語化」を考える


こんにちは、UIデザイナーの水澤です。

デザイナーはデザインを提案するときなど、言語化が特に重要です。

自分は言語化に対して少し苦手意識があるため、プレゼンのときは事前にスライドを整理しておくことで、説明する内容を見直しています。また、デザイナーはビジュアルを使って説明することもできるため、言語化が弱い側面は別のところで工夫してできる限りカバーをしています。

しかしそれが根本的な解決になっているかというとそうではないので、今回は言語化の解像度を深めるために書籍「デザインの言語化」を読みました。いろんな角度から言語化について説明され、言語化に悩んでいる方にオススメの本です。

特に注目した章をピックアップし、自分の学びをまとめました。

全体から細部の順番で説明する

書籍では、デザインのプレゼンをするときの文脈でこのことを説明していますが、プレゼンだけでなく普段相手に状況説明をする場面でも役立つ内容と思いました。

プレゼンでは事前準備ができるので説明の順序もそこで整理できますが、普段仕事をしているときに説明が必要な場面はたくさんあります。もちろん事前準備はできないので、つい頭に浮かんだことから口にして相手を混乱させてしまうことがありました。

相手がこちらの情報を受け取りやすくするために、まずは全体像を把握できるように情報の順番を整理していく必要があります。あくまで全体像が把握できるレベルが大事だと思うので、余分な情報を伝えないこともコツのように思います。

業種で意味が変わる「テーマ」と「コンセプト」

書籍では、一般的にデザインにおける「テーマ」は主題であり、デザインを考える出発点。「コンセプト」はそのテーマを具現化する手段として捉えられています。しかしファッション業界ではそれが逆で、ひとつのブランドコンセプトに対してその時代を反映したテーマに移り変わっていくものと書かれています。自分はこのことを初めて知ったので驚きました。

同じ言葉であっても業界ごとに意味が異なる点は面白いですが、事前の業界理解ではその点も含めて調査・把握しておくことが必要だと思いました。

また、同じ言葉でも人によってイメージが異なることがある、という話も触れられていました。書籍では、例えば「シンプルなデザイン」というオーダーをクライアントから頂いたときは「シンプルという言葉の解像度を上げる」を挙げています。

デザイナーにとっては身近な例ですが、デザイン制作でよく使われるワードだけでなく、普段なにげなく使っている言葉に対しても、正しい意味合いで使えているか?の見直しが大切と思いました。

主観に偏った言葉は共感を生みづらい

デザイナーは「どうしてそのデザインにしたか?」の説明責任があります。その場面において、主観だけで語るのと、客観的に捉えた上で主観を交えて語るのでは、同じ内容でも受ける印象が異なる。と書籍では書かれています。

自身の中では不思議と客観的に伝えることの方が重要に感じていたところがあり、書籍で「客観的すぎると冷たく感じる。主観と客観のバランスが大事」という言葉は今後の言語化・コミュニケーションのヒントになりそうと思いました。主観の意見が入るのは自然のことで、大事なことは説得力と相手の納得感であると捉え直しています。

言葉にすることは自分のためにもなる

それまで「言語化する能力を身に付けるためにどうすればいいのか?」を説明していましたが、この章では「そもそもなぜ言語化するのか?」の目的に着目しています。

書籍では、デザインの価値は定量的に表せず、去年と比べてどれくらい自分が成長したかも数字では表しにくい。成長に対する不安を払拭するために、明確な言葉で目標を立てることは有効な手段としています。また、自分のなりたい姿や理想とするデザインを言葉で明確にすることは、自己成長にもつながるとも書かれています。

クライアントが課題を達成するためにデザインを作り、そのデザインの意図をクライアントに正しく伝えることが言語化の目的と考えていましたが、それに加えて自己成長のためにも言語化が重要と改めて感じました。

自己成長したいものの、それを言語化することに難しさを感じてしまっていましたが、今は言語化することに苦しみを感じたとしても、それが成長痛として今後の自分の種になると考えています。

おわりに

「デザインの言語化」はデザイナー向けに書かれた本ですが、どの分野のデザイナーにも共通する学びが多くありました。個人的にはデザインに限られたことではなく、普段のコミュニケーションとしてのヒントにもなります。

Gaji-Labo ではディレクターがいないため、デザイナーやエンジニアがディレクションも担います。そのときにしっかり相手と齟齬のないコミュニケーションをしていくためにも言語化が重要になります。

もし「なぜ言語化をするのか?」に迷ったときはこの本を思い出して、クライアントの課題を解決するデザインを作るためにも、そして自己成長のためにも、言語化スキルを磨いていきたいと思います。

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投稿者 Mizusawa Minami

UIデザイナー。
サインデザインに携わった後、Web制作会社にてWebディレクターを経験。その後UI/UX設計に関心を持ち、事業会社や受託会社でUIデザインを担当。ユーザーにとって心地よい設計を考えていきます。Figmaが好き。