UIデザインのストーリーテリングとそれが落とし穴かもしれないこと
こんにちは、Gaji-Labo UIデザイナーの今西です。
UIデザインのご依頼にどのようなアプローチをとるか、私たちも支援先のプロダクトチームの一員として悩みながら進めています。
今回は、UIデザインにおけるストーリーテリングの重要性と、その落とし穴について考えてみたいと思います。
デザインでのストーリーテリングは、ユーザーの経験を豊かにし、製品との関わりを深めるための強力な手法です。
またUIデザインにおけるストーリーテリングは、ユーザーにインターフェースを通じて製品の利用イメージを伝える強力な手段です。しかし同時に、デザイナーがストーリーがユーザーにとって本当に有益になるかどうかを考慮することも大事なことだと考えてます。
ストーリーテリングによるユーザー体験への活用
UIデザインにストーリーテリングを取り入れることで、ユーザーの経験を豊かに理解できます。
ストーリーテリングを通じて、デザイナーはユーザーのニーズや感情に理解を深めそれをデザインに反映させることができます。
ユーザーペルソナを作成することで、ターゲットとなるユーザーの日常生活や課題を理解し、それに基づいたストーリーを構築することが可能です。また、プロットや起承転結としてユーザーが製品を使用する際の流れを描き、プロダクトが提供する体験を物語として展開することがプロダクトを使用するストーリーの設計に役立ちます。ユーザーはプロダクトからストーリーを読み取り、自身の経験を製品のストーリーに重ね合わせててプロダクトより深い関係性を築くことができます。
そこからユーザーが直面する問題や解決すべき課題へとプロダクトの価値を考えていきます。ユーザーの理解からペルソナを作成し、そのペルソナの日常生活寄り添ったアプリのストーリーを考えます。また、ユーザーの行動やニーズを反映したストーリーやジャーニーを作成することで、ビジネスとデザイナーが一貫した視点でプロジェクトに取り組むことができます。これらはユーザーが製品を使用する際のシーンを具体化し、デザインすべき画面を明確するのに役立ちます。
たとえば、スーパーマーケットのアプリデザインをする場合、会社帰りにスーパーを利用するユーザーの場合、その日のチラシ的な商品の紹介やレコメンドをユーザーの生活スタイルにあわせて配信する、商品とあわせたレシピが確認できるなどのストーリーを考えることができます。
ストーリーテリングの注意点
こうしたストーリーテリングには注意するべき点もあります。
魅力的なストーリーを過度に依存すると、本質的な論点を見逃す可能性があります。ビジネスにとってもプロダクトが魅力的なストーリーでなりたつことは大事ですが、ユーザーにとってそれがスポジティブな効果をもつストーリーかは常に考えておきたいことです。これには倫理的な問題も含まれると思います。
ヒトは自然となにもないところにもストーリーを見出す傾向があると思います。見出されたストーリーが常にあるべき方向に導かれるわけではありません。
ストーリーがユーザーに不適切な印象を与えることによって、プロダクトで提供できることとが期待値のズレが発生する危険性もあります。これにより、プロダクトの使用が難しくなったり、ユーザーが不便を感じたりすることがあるでしょう。UIにおいてもストーリーから逸脱したビジュアルのインターフェースはユーザーにとって不誠実なものになります。
先の例のスーパーマーケットのアプリの場合、商品を調べることはできてもリアルタイムの在庫情報はわからない、商品のレコメンドがユーザーが期待したニーズにあっていないなど。ストーリーを読み取っても実際の使い勝手がそれに追いつかないならば、そのギャップが不満につながることがあります。
UIデザインにおいては、ユーザーがUIを正しく認識しできプロダクトを効果的に利用できるようにすることが最優先されるべきと考えます。
デザイナーはストーリーテリングの力を正しく使い、ユーザーがプロダクトで一貫したポジティブな体験ができるコミュニケーションを努める必要があります。
プロダクトの目的としてはユーザーのニーズや期待に正確に応えることが重要であり、ストーリーは目的のために描く補助的な役割を果たすべきだと思います。誤った認知につながるもの、目的に対して不誠実になるものをストーリーにおくのはデザイナーの矜持から外したいところです。
またストーリーを誠実にユーザーと伝えられるように、認知できるレベルのわかりやすさをデザイナーはUI上でもコミュニケーションでも注意を払うべきだと思います。
さいごに
UIデザインにおけるストーリーテリングは、プロダクトの体験を豊かにしユーザーがプロダクトを具体的に使用するシーンへの理解と共感を深めることができます。UIを考える側がプロダクトとユーザーへの理解も進むし、ユーザーがUIを理解するためのコミュニケーションの手がかりになります。
その力があるだけにプロダクトやユーザーへの影響があることも理解しておくと良いと思います。
私たちデザイナーは、ストーリーテリングを過信せず、UIが直感的に理解でき、使いやすいことを確実にする責任があります。
プロダクトのストーリーは、ユーザーにとって明確で有益なものでなければなりません。このバランスをデザイナーが考えていけることが、優れたプロダクトの体験を生み出すカギと考えています。
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